鯛は自宅で飼育することが可能です

鯛の飼い方

鯛を自宅で買うことはできるのでしょうか?答えはイエスです。養殖するのではなければペットショップで用具はそろいますが、海水性の熱帯魚と同様の飼育知識が必要になります。
用具はペットショップで売られている海水魚用の水槽セットを使用します。魚に合わせた大きさの水槽が必要ですが、40cmくらいの鯛ならば120cmくらいの水槽が必要になります。小さいうちであれば60cmや90cm水槽でも間に合います。値段的には10万円か、それ以上、という感じです。
エサはペットショップで売っているものを買ってきて与えればよいです。オキアミやカニも食べるそうです。
一番大切なのは水槽の環境です。水槽にサンゴ底砂を敷き詰め、浄化用フィルター・エアーポンプ、などをセットします。岩、サンゴ石や海藻を一緒に入れると魚の隠れ家なります。
水温、塩分濃度をきちんと調整して安定した状態が必要です。

そのためには、鯛を入れる前に水槽などの設備と海水を準備しておくのが大切です。1か月前や3か月前に準備が必要、と言われています。水質浄化のバクテリアが繁殖するにはそれだけの時間が必要だからです。海水の交換は月に1回くらいの頻度で水槽の3分の1から半分くらいの水を交換します。
ここで、お勧めしたい器具がプロテインスキマーです。プロテインスキマーは海水魚飼育で効果のある濾過装置です。水槽にはエサの残りや排泄物がありますが、放っておくとその中のタンパク質がバクテリアによって分解されてアンモニアや亜硝酸といった有害物質となり、水質悪化・苔の発生などが起きて魚の成育に悪影響を及ぼします。プロテインスキマーはこのたんぱく質を除去することによって水を浄化して水質の悪化を防いでくれます。
病気の予防には殺菌灯が効果あります。紫外線の効果により殺菌作用が働きます。

温度管理も重要です。水温が上がりすぎると死んでしまいます。寒い分にはヒーターがお手頃価格で売っているので問題ないのですが、水を冷やすのは難しいです。水槽用のクーラーが売られていますが高価です。水槽が大きくて水量が多いほうが温度変化はゆっくりになるで、温度管理には有利かもしれません。
鯛は自分で釣ってくるか、だれか釣りの好きな人に釣ってきてもらうのが確実です。築地で活魚を扱っているお店があるそうですし、漁業組合や漁師さんに購入を依頼する、というのも一手だと思います。
しかし、入手した鯛を水槽に入れる時には、いきなり入れるのは良くありません。なぜなら水温の急な変化で鯛がショック死してしまうことがあるからです。ビニール袋などに魚と釣ってきた環境の水を入れ、そこに水槽の水を少し加えてそのまま水槽の中に浸し、水温が水槽と同じになったら水槽にビニール袋の中の水ごと静かにはなしてあげると良いです。水合わせと言われる作業です。
自宅で水槽をくるくる泳いでいる姿は見ていてきっと楽しいと思います。それが鯛だと美味しそうに見えてしまうかもしれません。

おめでたいといわれる鯛の豆知識

鯛はめでたい魚

鯛という魚は昔からおめでたい魚と言われていて、現代でもおめでたい時に食べられる魚です。江戸時代ごろには既に珍重され、高級魚として殿様や将軍の食卓にも上がっていたとされます。七福神の布袋様が釣竿と一緒にぶら下げているのも大きな鯛ですね。

実際に語呂合わせの「めでたい」だけではなく、味もおいしく、様々な調理法で調理されています。実は「タイ」とつく魚は実に200種類以上も存在しています。ですが、そのすべてが実際にタイと同じ種かというとそうではなく、ただ単に白身魚で、なおかつ赤い体をしているもの魚にタイとつく名前を付けただけのものもいます。そのようなものは「肖りダイ」などと言われることもありますが、それだけ名前が付けられるほど鯛は人々の憧れだったのでしょう。
ちなみに鯛は日本以外ではあまり珍重されているものではないそうです。もともとあまり魚を食べる風習のない欧米ではもちろん、中国でもあまり良いイメージのない魚なんだそうです。

それではなぜ日本ではめでたいイメージがあるのかというと、それはまず第一に文化の影響のようです。日本では赤はめでたい色として現代も使われていますし、昔からやはりめでたい色とされてきました。そのため体の色が赤い鯛はそれだけでおめでたい雰囲気をしているのです。また日本は俳句などでも行われる「掛詞」のようなごろ合わせともいえる言葉遊びが多く、それは江戸時代などでも変わらず残っていました。そこで「めでたい」と「鯛」のごろ合わせから、めでたいことにあやかって鯛が好まれるようになったのです。
またお祝い事では尾頭付きの鯛を食べることがよくありますが、これは鯛がおめでたいものだからというだけではなく、「尾頭付き」という状態の魚が「かけた部分のない、完璧な」姿であることから、祝い事にふさわしいとされ、なおかつ鯛は焼いても形が崩れにくいという実用性も含めて尾頭付きの鯛が祝い事によく使われるようになったそうです。
さらに、意外と知られていないことですが、鯛の骨は古墳や貝塚の中から発見されることも多く、縄文時代ごろから頻繁に食されていたそうです。

このように鯛は昔から日本人の食生活や文化に寄り添ってきた魚なのです。

では鯛の特徴と言ったらなんだろう、という話をしますが、やはり鯛の特徴の中で大きいものは、その体の赤さです。桜鯛、と呼ばれる旬に取れた真鯛は皮だけではなくさばいた身まで薄赤く色づいているそうです。鯛=赤というイメージはここからきているのですね。ちなみに鯛は先ほども言ったように白身魚なのですが、その味は淡白ですがおいしく、特に江戸時代の江戸では五白などといい、味の薄い、上品なものが好まれたため、白身魚でなおかつ風味の良い鯛は江戸時代人気であったそうです。
また、意外なことに鯛はさばきにくい魚なんだそうです。もともと旬のおいしい鯛は体が大きく40~50センチ、重さは2~3キロあるくらいですから相当大きいのですよね。さらに鯛のひれは堅く、鱗もとりにくいと言います。そのため一般家庭ではさばきにくんですね。
ちなみに鯛の固い鱗では分厚く、年輪のように輪が刻まれています。この輪からその鯛の年齢を推測することも可能なのですが、実は鯛は20年~40年生きるのだそうです。有名な戦国武将の織田信長は「人生50年」と歌いましたが、鯛は下手をすれば実際に人間と同じくらい生きていたのかもしれませんね。

24種の鯛の種類の紹介です

鯛の仲間は24種類いると言われています。24種類とは、真鯛(まだい)、血鯛(ちだい)、黄鯛(きだい)、平鯛(へだい)、黒鯛(くろだい)、キチヌ、石鯛(いしだい)、石垣鯛(いしがきだい)、白甘鯛(しろあまだい)、赤甘鯛(あかあまだい)、糸縒鯛(いとよりだい)、疣鯛(いぼだい)、目鯛(めだい)、金目鯛(きんめだい)、的鯛(まとうだい)、鷹羽鯛(たかのはだい)、コショウダイ、コロダイ、テンジクダイ、笛鯛(ふえだい)、黒星笛鯛(くろほしふえだい)、ウメイロ、目一鯛(めいちだい)、浜笛吹(はまふえふき)となります。

真鯛は成魚で80cmくらいになります。4月から6月にかけて産卵期になります。
血鯛は成魚で50cmくらいです。えらのふちが真鯛よりも赤いところが見分け方のポイントです。
黄鯛はレンコダイとも呼ばれ、成魚で30cmくらいの大きさで血鯛よりさらに小振りです。全体的に丸っこい感じです。新鮮なものは黄色を帯びているのが良く分かります。
平鯛は成魚で40cmくらいです。体つきは黄鯛に似ていますが、色は黒鯛に近く、赤みは帯びていません。
黒鯛はチヌともチンとも呼ばれています。成魚の大きさは40cmくらいです。サイズも色も平鯛に似ているので間違われやすいです。顔の丸さで見分けがつきます。

キチヌは胸鰭が黄色いのでキビレとも呼ばれます。黒鯛より小振りです。
石鯛は成魚で80cmになります。体に縦の縞模様が見られますが、成魚になると薄れてきます。
石垣鯛の成魚は50cmくらいの大きさです。キリンのような網目模様が見られますが、石鯛と同じように、成魚になると模様は薄れてきます。
白甘鯛の成魚は40cmくらいです。関西ではグジと呼ばれています。他の鯛に比べてひょろ長い体つきです。

赤甘鯛も白甘鯛と似た鯛ですが、色が赤みを帯びて鯛らしい色合いです。
糸縒鯛は成魚で30cmと小振りです。黄色の線が体を縦に走っています。食べると小骨が多いです。
疣鯛の成魚は体長20cm程度で、鱗がありません。関西ではシズと呼ばれています。
目鯛は90cmくらいの成魚になり、頭に鱗がありません。
金目鯛は成魚で50cmくらいです。体はかなり赤い色をしています。煮つけでよく食べられます。
的鯛は成魚で50cmくらいの大きさとなります。鯛らしからぬ姿形です。
鷹羽鯛は成魚で40cmくらいです。茶色の縞のある体をしています。味はあまり美味しくないとのこと。

コショウダイは成魚で50cmくらいになります。鯛といって鯛科ではなくてイサキ科です。
コロダイもイサキ科の魚で、成魚の大きさは50cmくらいです。
テンジクダイは成魚で10cmの小さな魚である。淡黄色で、体側に暗色の細い横帯が10本近くあります。
笛鯛は成魚で40cmくらいになり、背中に白い斑点があるのが特徴です。
黒星笛鯛は成魚で60cmくらいになり、体の後方に黒い斑点が一つ綺麗に付いています。
ウメイロは名前に鯛はついていませんがフエダイ科の鯛です。成魚で35cmくらいになります。
目一鯛は成魚で40cmくらいのサイズです。薄い茶色にピンクと紫がかかった、なかなか綺麗な鯛です。
浜笛吹はフエフキダイ科の鯛で成魚は1mくらいになります。黄色がかった体ととんがった口が特徴です。